
(出典:JR東日本ニュース)
8月12日のNHKラジオ「ニュースで学ぶ現代英語」で、英語学習に役立つ興味深いアドバイスが紹介されていました。
ポイントは━━「英語を聞き取るには『先の内容の予測』も大切」━━ということです。
番組では次のように説明されていました。
「英語が聞き取れない原因は大きく分けて2つあって、まずは『そもそも英語の音を認識できない』、そしてもう1つは『英語が発話されるスピードについていけない』ことです。
今回は後者についてお話ししましょう。スピードについていくには、ある程度『先の内容を予測しながら聞く』ことも大切なのです。『そんな超能力みたいなことできるの?』と思われるかもしれませんが、これは聞き取りの得意な人なら無意識にやっていることなのです。」
確かに、この「先読み」は日本語でも自然に行っています。
例えば「昨日の映画はすごく・・・」と聞けば、多くの人は「面白かった」「感動した」などの形容が来ると予測します。
この予測があるからこそ、多少聞き取りにくくても意味をつかみやすくなるのです。英語も同じで、予測があると聞き取った瞬間に意味がつながります。
番組では、こんな例が出されました。
「They converted the old house …(その古民家を改装した)
converted the old houseと聞いたら普通は「何に改装したのか」が気になるため、「~に改装する」を表すinto …が続くと予測できます。もちろん具体的に何に改装したのかまでは先を聞かないと分かりませんが、少なくとも文を聞きながら「この後には~に改装したという内容が続くはず」という大枠を予測することが大切なのです。」
さらにニュース本文からの実例です。
「The company is converting an express train running on Tokyo's Joban Line into the 10-car overnighter.
(常磐線の特急列車を夜行列車に作り替える)聞き取りの得意な人なら、The company is converting an express train running on Tokyo's Joban Lineという文を聞きながら、「特急列車を何に作り変えたのかを表す into …が続くはず」と無意識に待ち構えるものです。だから、そのあとにinto the 10-car overnighterが出てきたとき、すばやく文の意味を理解できるのです。
その結果、英語を聞き取る際に余裕が生まれます。逆に言えば、予測ゼロの状態で聞いていると聞き取りに余裕がなくなってしまいます。」
私自身も、以前はニュースやインタビューを「一語一句逃さず聞き取ろう」として疲れていました。
けれど、「次に何が来るか」を意識するようになってから、たとえ知らない単語が出ても前後の文脈で意味を推測できるようになり、理解度が上がりました。
予測を立てて聞くと、分からない部分に出くわしても焦らずに済みますし、当たったときの達成感が学習のモチベーションにもなります。
では、この予測力はどうやって鍛えればよいのでしょうか。番組ではこう述べています。
「単語の用法への理解を深め、さらにたくさんの英語を聞いているうちに、自然と予測できるようになっていきますよ。これから英語ニュースなどを聞く際は、ある程度予測しながら聞けているかということを、ぜひ意識してみてください。」
結局のところ、近道はありません。単語や表現の使い方を理解しながら、多くの英語を聞き続けることが最も確実です。
ただし、興味のない素材を惰性で聞くよりも、自分が関心を持てるテーマを選ぶほうが、予測も自然に働き、学びも深まります。