かつてはそれなりの規模があった独立行政法人 国立青少年教育振興機構の予算も、近年は年々縮小傾向にあります。とくに注目すべきは、機構の主要財源である国からの運営費交付金が大きく減少している点です。

事業報告書などによると、平成18年度には115億円だった運営費交付金は、令和6年度には77億円まで減少しています。この18年間で実に約33%、金額にして38億円の削減となっており、単純に言えば交付金の3分の1がカットされた計算になります。

特に直近の推移を見ると、

  • 令和4年度から令和5年度にかけて 5億円の減少
  • 令和5年度から令和6年度にかけて さらに2億円の減少

と、ここ2年間だけでも合計7億円の減額がなされているのです。

全国にある27の国立青少年教育施設のうち、1施設あたりの運営費はおおよそ2~3億円とされています。この7億円の減少は、地方にある2~3施設の閉鎖に相当する規模です。現時点で明確な閉鎖方針が打ち出されているわけではありませんが、このまま予算の減少が続けば、地域の施設が静かに姿を消していく可能性も否定できません

青少年教育の現場は、単なる施設の維持ではなく、次世代の人材育成に直結する重要な役割を担っています。教育格差の是正や、地域コミュニティの再生にも貢献する場であるだけに、このような財政的縮小は、社会的にも大きな損失となりかねません。

今後、機構の経営陣には、限られた資源の中でどのように効果的に事業を展開するか、その手腕が問われます。同時に、私たち一人ひとりも、「なぜ青少年教育が必要なのか」「それを公的にどう支えていくべきか」という視点で、改めて考える時期に来ているのかもしれません。