国立青少年教育振興機構では、いくつかの国際交流プログラムがありまが、どうしてそれらの国々と日本とが交流をするようになったのか、それぞれに理由があります。

しかし、長くそのプログラムをしていると、それが当たり前になってしまった、どうしてその国と交流をしなければいけないのか、わからなくなってしまう可能性もあります。それらは、組織内できちんと文章が残っていて、調べればわかるようになっています。

例えば、アジア諸国との友好関係を深めるといった目的のため、文部科学省等が、青少年の国際交流プログラムを構想し、しかし、文部科学省等が直接事業を行うのではなく、国立青少年教育振興機構にその事業を担ってもらうといった形をとっております。

以前、中東のA国の担当者が、青少年交流についての情報収集や国際交流プログラムの可能性をさぐるために、国立青少年教育振興機構を訪ねてきたことがありました。そのとき、ある幹部が対応したのですが、「A国の人たちはいい人ばかりだし、とてもいいと思う。」とA国のことが気に入ってしまいました。

その後、A国で開催のSDGs関係の国際会議への招待があったので、その幹部は職員2名を連れて出張してその会議に出席し、さらにA国の政府関係者に対して「国際交流プログラムをしましょう」といった話をしてしまいました。

国際交流をするためには相当の予算が必要ですが、そのあてはあるのか心配でしたし、さらに、A国との国際交流プログラムをするのならば、もっと優先順位の高い国もあると思ったのですが、相互交流をしようということを相手国に伝えてしまったので、後戻りはできなくなりました。

こうした事情を説明しに、文部科学省に行ったのですが、「どうしてこんなことになったのか。勝手に進めないでくれ。なぜ、(その幹部のことを)しっかりとグリップできていないのか。」と、文部科学省の担当課長から強く叱責されてしまいました。文科省の課長の言うとおり、そのような事態になる前に何か手を打っておくべきだったと、いまさらながら思っています。その後のことですが、新型コロナウイルス感染拡大があったりして、そのプログラムの話は消滅したように聞いています。