2023年(令和5年)9月9日の朝日新聞に、「おうち英語」についての興味深い記事が掲載されていました。「おうち英語」とは、英会話教室や塾に通うのではなく、自宅で英語に親しむ学習法のことを指します。記事では、尾島庸介教授(千葉大学)へのインタビューが紹介されていました。

(おうち英語の研究を始めたのは、いつですか。)

【尾島教授】
約8年前。ある公立小学校の英語授業を見学したら、めちゃくちゃ英語ができる子がいたんです。帰国子女ではない。保護者に聞くと、幼い頃からCDや動画教材を使って英語に触れさせていた、と。親は英語が全然できないのに、その子は驚異的にスピーキングがうまい。それまで言語学では「テレビなどの映像や音楽からは、言語は学べない」というのが定説だったので、本当に驚きました。

(いま、何がどこまでわかってきていますか。)

【尾島教授】
まずは、英語への授業時間の重要性です。幼い時から触れていても、「すらすらと発話ができるようになる」といった一定の効果を得るには、数千から1万~2万時間が必要です。

(おうち英語でいい方法はありますか。)

【尾島教授】
まずは質の良い音声によるインプットを、長時間すること。音声記憶が定着してきたら、多読などで読みに慣れさせる。さらに発話が出てきたら、話す機会を与える。そういう大まかな流れはあります。

この記事を読んで、私自身の経験からも「まさにその通りだ」と強く共感しました。というのも、英語に触れる「時間」の差が、リスニング力や理解力に直結することを、身をもって実感してきたからです。

以前の私は、英語を聞いても意味がほとんど頭に入ってきませんでした。しかし、毎日1時間以上、英語の意味を意識しながら音声を聞き続けることで、少しずつ耳が英語に慣れ、内容が自然と理解できるようになっていきました。

大切なのは、「量」と「質」をともに意識したインプットです。できるだけ多く、さまざまな話者の英語に触れることが、英語のリズムや音に対する感覚を養ううえで不可欠だと感じています。

子どもだけでなく、大人にとっても「おうち英語」のような継続的な学びのスタイルは、有効だと思います。毎日の少しの積み重ねが、大きな力になる━━この記事はそのことを改めて思い出させてくれました。