大学に教職員用の宿舎を用意しているところもあると思います。私が以前勤めていた大学も宿舎がありました。古い宿舎が多いような気がしますが、家賃が安いので利用する人も結構いると思います。

しかし、時々トラブルになるときがあります。ある教員が宿舎に入っていたのですが、別の大学に移ることになり、その宿舎を出ることになりました。その宿舎は原状回復して出ていくことになっているのですが、そこでトラブルが起きました。元賃借人(A氏)が、原状回復にかかった費用を払ってくれないという事態になったのです。大学側の落ち度としては、原状回復にかかるところや経費を一緒に確認すべきところを、そうはせずに簡易的に業者にその原状回復にかかる業務を発注してしまったのです。そこはいけないかったのですが、A氏はそのことを理由に費用の支払いをすべて拒否し続けました。

施設担当課長は、A氏に何度も連絡をとって、必要な経費を払ってくれるように粘り強く説得していたのですが、なかなか前に進みません。私は、いざとなれば訴訟になってでもその経費を払ってもらうべきと思い、そのための方策を研究していました。研究していたところ、少額訴訟というものがあるのを知って、A氏がいつまでも支払いを拒むならば、その方法でいこうと思っていました。

そう思っていたところ、4月の人事異動で私がその大学を去ることになったので、あとは後任者に任せることになりました。その後、どのように決着したのかは確認していませんが、ふつうは訴訟はしたくないものなので、訴訟までしなくてもいいのでは、といったことになったかもしれません。

数年後に、私が別件で少額訴訟を起こす場面が出てきました。ある会社がこちらがした仕事に対して適切な報酬を出してくれないので、おもいきって少額訴訟をしてみました。東京簡易裁判所に必要書類をもっていき、そこでていねいに説明を受けながら、無事に提訴することができました。弁護士を利用しなかったので本人訴訟になります。少額訴訟から通常訴訟に移行しましたが、準備書面を用意して裁判所に送り、だいたい毎月1回は口頭弁論に臨みました。苦労しましたが、最終的には和解をして一定程度の金銭を取り返すことに成功しました。

その当時、裁判についての経験や知識があったら、もっと素早く対応できたのかもしれません。そこが少し後悔しているところです。