平成30年7月10日

平下 文康

要旨

子供の頃に様々な体験活動を行うことは重要であるとの指摘がなされており、現在、青少年教育施設を含め、様々な場所で、多くの子供たちが自然体験文化体験社会体験などをしている。

ここでは、新学習指導要領(平成29年3月31日公示)を参考にしつつ、これら体験活動を体系的・網羅的に整理し、「小・中学生のための体験活動俯瞰図」を作成した。さらにこれをもとに、経済的負担等を考慮して、多くの子供たちに体験してほしいことを中心に整理して「小・中学生のための体験活動マップ」として示した。学校、家庭や地域、青少年教育施設等でこの体験活動マップを参考にして、子供たちに様々な分野の体験活動の機会を提供してもらいたいと考えている。

体験活動とは何か

体験活動とは何か。自然体験、文化体験、社会体験とはそれぞれ何か。各人がそれぞれあるイメージを持っていると思われる。ここでは、多くの人たちが共通理解できるように、体験活動を体系的・網羅的に整理して、全体像を示すこととした。

体験活動の一部は、学習指導要領に基づいて日常的に学校での教育活動として行われている。一方で、家庭や地域社会などにおいて、子供の興味関心に基づき、自主的に行っていることも多い。そうした活動は、友達と一緒に、あるいは兄弟姉妹等で行っている場合もあるし、一人で行っている場合もある。

体験活動の全体像を示すための方法として、子供たちの活動の多くに影響を与えている「学習指導要領」をもとに考えることとした。学習指導要領は、多くの専門家の手で作成され、何度も改訂がなされ、また学校現場で長期にわたって実践や検証がなされてきたものであるので、体験活動を考えるうえで、極めて重要な参考資料であると考える。

学習指導要領をもとに体験活動を考える

以下は、新学習指導要領(平成29年3月31日公示)で体験活動に関係する部分を記載してある。これらをもとに、学校で行われるものも含め広く体験活動として考えられるものを列挙してみた。

読書

小学校1・2年国語

「言葉がもつよさを感じるとともに、楽しんで読書をし、国語を大切にして、思いや考えを伝え合おうとする態度を養う。」
昔話神話・伝承などの読み聞かせを聞くなどして、我が国の伝統的な言語文化に親しむこと。」

小学校3・4年国語

「言葉がもつよさに気付くとともに、幅広く読書をし、国語を大切にして、思いや考えを伝え合おうとする態度を養う。」
「幅広く読書に親しみ、読書が、必要な知識や情報を得ることに役立つことに気付くこと。」

小学校5・6年国語

「言葉がもつよさを認識するとともに、進んで読書をし、国語の大切さを自覚して、思いや考えを伝え合おうとする態度を養う。」
詩や物語、伝記などを読み、内容を説明したり、自分の生き方などについて考えたことを伝え合ったりする活動。」
「学校図書館などを利用し、複数の本や新聞などを活用して、調べたり考えたりしたことを報告する活動。」

読書分野の体験活動としては、次のようなことが考えられる

図書館を利用したりして、文学、歴史、伝記、民話、紀行、地理、社会、理科など様々なジャンルの本を読む。
新聞雑誌を読む。

社会見学

小学校3年社会

「身近な地域や市区町村(以下第2章第2節において「市」という。)の様子について、学習の問題を追究・解決する活動を通して、次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)身近な地域や自分たちのの様子を大まかに理解すること。
(イ)観察・調査したり地図などの資料で調べたりして,白地図などにまとめること。
イ 次のような思考力、判断力、表現力等を身に付けること。
(ア)都道府県内における市の位置、市の地形や土地利用、交通の広がり、市役所など主な公共施設の場所と働き、古くから残る建造物の分布などに着目して、身近な地域や市の様子を捉え、場所による違いを考え、表現すること。」

「地域に見られる生産や販売の仕事について、学習の問題を追究・解決する活動を通して、次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)生産の仕事は、地域の人々の生活と密接な関わりをもって行われていることを理解すること。
(イ)販売の仕事は、消費者の多様な願いを踏まえ売り上げを高めるよう、工夫して行われていることを理解すること。
(ウ) 見学・調査したり地図などの資料で調べたりして、白地図などにまとめること。」
「アの(ア)及びイの(ア)については、事例として農家工場などの中から選択して取り上げるようにすること。」
「アの(イ)及びイの(イ)については、商店を取り上げ、「他地域や外国との関わり」を扱う際には、地図帳などを使用して都道府県や国の名称と位置などを調べるようにすること。」

「地域の安全を守る働きについて、学習の問題を追究・解決する活動を通して、次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)消防署警察署などの関係機関は、地域の安全を守るために、相互に連携して緊急時に対処する体制をとっていることや、関係機関が地域の人々と協力して火災や事故などの防止に努めていることを理解すること。
(イ) 見学・調査したり地図などの資料で調べたりして、まとめること。」
「「緊急時に対処する体制をとっていること」と「防止に努めていること」については、火災事故はいずれも取り上げること。その際、どちらかに重点を置くなど効果的な指導を工夫をすること。」

小学校4年社会

「人々の健康や生活環境を支える事業について、学習の問題を追究・解決する活動を通して、次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)飲料水、電気、ガスを供給する事業は、安全で安定的に供給できるよう進められていることや、地域の人々の健康な生活の維持と向上に役立っていることを理解すること。
(イ)廃棄物を処理する事業は、衛生的な処理や資源の有効利用ができるよう進められていることや、生活環境の維持と向上に役立っていることを理解すること。
(ウ)見学・調査したり地図などの資料で調べたりして、まとめること。」
飲料水電気ガスの中から選択して取り上げること。」
ごみ下水のいずれかを選択して取り上げること。」

自然災害から人々を守る活動について、学習の問題を追究・解決する活動を通して、次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)地域の関係機関や人々は、自然災害に対し、様々な協力をして対処してきたことや、今後想定される災害に対し、様々な備えをしていることを理解すること。
(イ) 聞き取り調査をしたり地図年表などの資料で調べたりして、まとめること。」
「アの(ア)については、地震災害津波災害風水害火山災害雪害などの中から、過去に県内で発生したものを選択して取り上げること。」
「アの(ア)及びイの(ア)の「関係機関」については、県庁市役所の働きなどを中心に取り上げ、防災情報の発信、避難体制の確保などの働き、自衛隊など国の機関との関わりを取り上げること。」

「県内の伝統文化先人の働きについて、学習の問題を追究・解決する活動を通して、次の事項を身に付けることができるよう指導する。 
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)県内の文化財年中行事は、地域の人々が受け継いできたことや、それらには地域の発展など人々の様々な願いが込められていることを理解すること。
(イ)地域の発展に尽くした先人は、様々な苦心や努力により当時の生活の向上に貢献したことを理解すること。
(ウ)見学・調査したり地図などの資料で調べたりして、年表などにまとめること。」

小学校5年社会

「我が国の農業水産業における食料生産について、学習の問題を追究・解決する活動を通して、次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 我が国の食料生産は、自然条件を生かして営まれていることや、国民の食料を確保する重要な役割を果たしていることを理解すること。
(イ) 食料生産に関わる人々は、生産性品質を高めるよう努力したり輸送方法販売方法を工夫したりして、良質な食料を消費地に届けるなど、食料生産を支えていることを理解すること。
(ウ) 地図帳地球儀、各種の資料で調べ、まとめること。」
「食料生産の盛んな地域の具体的事例を通して調べることとし、稲作のほか、野菜果物畜産物水産物などの中から一つを取り上げること。」

「我が国の工業生産について、学習の問題を追究・解決する活動を通して、次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 我が国では様々な工業生産が行われていることや、国土には工業の盛んな地域が広がっていること及び工業製品は国民生活の向上に重要な役割を果たしていることを理解すること。
(イ) 工業生産に関わる人々は、消費者の需要や社会の変化に対応し、優れた製品を生産するよう様々な工夫や努力をして、工業生産を支えていることを理解すること。
(ウ) 貿易や運輸は、原材料の確保製品の販売などにおいて、工業生産を支える重要な役割を果たしていることを理解すること。
(エ) 地図帳地球儀、各種の資料で調べ、まとめること。」
「工業の盛んな地域の具体的事例を通して調べることとし、金属工業機械工業化学工業食料品工業などの中から一つを取り上げること。」

「我が国の産業と情報との関わりについて、学習の問題を追究・解決する活動を通して、次の事項を身に付けることができるよう指導する。 
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 放送新聞などの産業は、国民生活に大きな影響を及ぼしていることを理解すること。
(イ) 大量の情報や情報通信技術の活用は、様々な産業を発展させ、国民生活を向上させていることを理解すること。
(ウ) 聞き取り調査をしたり映像や新聞などの各種資料で調べたりして、まとめること。」
「「放送、新聞などの産業」については、それらの中から選択して取り上げること。その際、情報を有効に活用することについて、情報の送り手と受け手の立場から多角的に考え、受け手として正しく判断することや送り手として責任をもつことが大切であることに気付くようにすること。」

社会見学分野の体験活動としては、次のようなことが考えられる

工場(食品、飲料、自動車、化粧品など)の見学、施設(浄水場、発電所、ガス工場、ごみ処理施設、研究所、検査所など)の見学、工房(伝統工芸品、美術品など)の見学、会社(新聞社、テレビ局、IT企業、商社など)の見学や保護者の職場の見学に行く。
職業体験施設に行ったり、自宅が商店、工場などである場合にはその手伝いをしたりする。

農林水産業体験

農水産業体験分野の体験活動としては、次のようなことが考えられる

農業体験(稲作、野菜の栽培、みかん狩り、さつまいも掘り、酪農など)、林業体験(植林、間伐、下刈り、炭焼きなど)、水産業体験(地曳網、干物作りなど)に参加する。
②自宅が農業、林業、水産業に携わっている場合にはその手伝いをする。

歴史を学ぶ

小学校6年社会

「我が国の歴史上の主な事象について、学習の問題を追究・解決する活動を通して、次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。その際、我が国の歴史上の主な事象を手掛かりに、大まかな歴史を理解するとともに、関連する先人の業績、優れた文化遺産を理解すること。」
博物館資料館などの施設の活用を図るとともに、身近な地域及び国土の遺跡文化財などについての調査活動を取り入れるようにすること。また、内容に関わる専門家や関係者、関係の諸機関との連携を図るようにすること。」

中学校社会(歴史的分野)

「日本人の生活や生活に根ざした文化については、政治の動き、社会の動き、各地域の地理的条件、身近な地域の歴史とも関連付けて指導したり、民俗学や考古学などの成果の活用や博物館、郷土資料館などの施設を見学・調査したりするなど具体的に学ぶことを通して理解させるように工夫すること。」

歴史学習分野の体験活動としては、次のようなことが考えられる

神社寺院、城、歴史的建造物、世界文化遺産、遺跡、博物館、郷土資料館、文書館を訪れる。
祖父母や地域の高齢者から昔の話を聞く。
③歴史をテーマにした映画、ビデオを見る。

動物

小学校1・2年生活

「動物を飼ったり植物を育てたりする活動を通して、それらの育つ場所、変化や成長の様子に関心をもって働きかけることができ、それらは生命をもっていることや成長していることに気付くとともに、生き物への親しみをもち、大切にしようとする。」

動物分野の体験活動としては、次のようなことが考えられる

動物園牧場水族館、海、川、池、森、林などで、様々な動物を見たり、観察したりする。
例えば、哺乳類(サル、イヌ、ネコ、クマ、ライオン、トラ、ゾウ、ウマ、ウシ、カバ、シカ、キリン、ブタ、ヒツジ、ネズミ、ウサギ、イルカなど)、両生類・爬虫類(カエル、カメ、ヘビなど)、魚類等(サケ、フナ、ウナギ、コイ、金魚、サメ、マグロ、タイ、カレイ、カタツムリ、ハマグリ、アサリ、イソギンチャク、サンゴ、クラゲ、タコ、ヤドカリ、ヒトデ、ナマコなど)、鳥類(カラス、スズメ、カナリヤ、ウグイス、ツバメ、フクロウ、オウム、ハト、カモメ、ツル、クジャク、ニワトリ、ワシ、ハクチョウ、カモ、ペンギン、ダチョウなど)。
小動物(イヌ、ネコ、ハムスターなど)や金魚を飼う。

昆虫

小学校3年理科

「次のことを理解するとともに、観察、実験などに関する技能を身に付けること。(略)
(イ)昆虫の育ち方には一定の順序があることまた成虫の体は頭、胸及び腹からできていること。
(ウ)植物の育ち方には一定の順序があること。また、その体は根、茎及び葉からできていること。」

小学校4年理科

「身近な動物や植物について、探したり育てたりする中で、動物の活動や植物の成長と季節の変化に着目して、それらを関係付けて調べる活動を通して、次の事項を身に付けることができるよう指導する。」

昆虫分野の体験活動としては、次のようなことが考えられる

公園、野原、川辺、池、森、林、畑などに出かけて、様々な昆虫を探したり、観察したり、飼ったりする。例えば、チョウ、トンボ、ハチ、アリ、カブトムシ、クワガタムシ、コガネムシ、ゲンゴロウ、ホタル、テントウムシ、カミキリムシ、カメムシ、セミ、バッタ、キリギリス、コオロギ、スズムシ、カマキリ。

植物

植物分野の体験活動としては、次のようなことが考えられる

公園、山、野原、川辺、池、森、林、畑、植物園などに出かけて、様々な植物を探したり、観察したり、育てたりする。
例えば、樹木(イチョウ、スギ、マツ、ヤナギ、クヌギ、ケヤキ、アジサイ、サクラ、ウメ、バラ、カエデ、ツバキ、ツツジ、ヤシ、タケなど)、花・野草(パンジー、アヤメ、スイセン、ヒアシンス、チューリップ、ヒマワリ、アサガオ、ユリ、マリーゴールド、コスモス、サルビア、キク、サボテン、ナデシコ、スイレン、アブラナ、タンポポ、スミレ、オオバコ、ススキ、ヒガンバナなど)、高山植物(コマクサ、ミズバショウなど)、野菜・果物・木の実(キャベツ、タマネギ、ダイコン、ジャガイモ、トマト、トウモロコシ、イネ、スイカ、ミカン、リンゴ、ブドウ、カキ、クリ、ドングリ、松ぼっくりなど)、シダ類(ゼンマイ、ワラビなど)、コケ類(ゼニゴケ、ミズゴケなど)。

天体

小学校4年理科

の特徴について、位置の変化や時間の経過に着目して、それらを関係付けて調べる活動を通して、次の事項を身に付けることができるよう指導する。」

天体分野の体験活動としては、次のようなことが考えられる

山、高原などに行き、真っ暗な中で、空いっぱいに広がる星空を見たり、観察したりする。特に、次のようは代表的な星座や星などを見つける。
天の川、北極星、北斗七星、カシオペヤ座、夏の大三角(こと座のベガ、わし座のアルタイル、はくちょう座のデネブ)、さそり座のアンタレス、冬の大三角(こいぬ座のプロキオン、おおいぬ座のシリウス、オリオン座のベテルギウス)、オリオン座のリゲル、オリオン大星雲、プレアデス星団(すばる)

音楽

小学校音楽 共通教材

1年 「うみ」「かたつむり」「日のまる」「ひらいたひらいた」
2年 「かくれんぼ」「春がきた」「虫のこえ」「夕やけこやけ」
3年 「うさぎ」「茶つみ」「春の小川」「ふじ山」
4年 「さくらさくら」「とんび」「まきばの朝」「もみじ」
5年 「こいのぼり」「子もり歌」「スキーの歌」「冬げしき」
6年 「越天楽今様(歌詞は第2節まで)」「おぼろ月夜」「ふるさと」「われは海の子(歌詞は第3節まで)」

中学校音楽 共通教材

「赤とんぼ」「荒城の月」「早春賦」「夏の思い出」「花」「花の街」「浜辺の歌」

音楽分野の体験活動としては、次のようなことが考えられる

①次のような、歌い継がれてきた様々な歌をみんなで一緒にったり、演奏したり、鑑賞したりする。
「うみ」「かたつむり」「日のまる」「ひらいたひらいた」「かくれんぼ」「春がきた」「虫のこえ」「夕やけこやけ」「うさぎ」「茶つみ」「春の小川」「ふじ山」「さくらさくら」「とんび」「まきばの朝」「もみじ」「こいのぼり」「子もり歌」「スキーの歌」「冬げしき」「越天楽今様」「おぼろ月夜」「ふるさと」「われは海の子」「赤とんぼ」「荒城の月」「早春賦」「夏の思い出」「花」「花の街」「浜辺の歌」「故郷の空」「埴生の宿」「旅愁」「野薔薇(のばら)」「琵琶湖周航の歌」「どこかで春が」「ペチカ」「椰子の実」「トロイカ」
②これら以外にも様々なジャンルの音楽(民謡、子守唄、童謡、ポピュラー音楽、映画音楽、クラシック、ジャズ、サンバなど)について、歌ったり、演奏したり、鑑賞したりする。
③ピアノ教室、バイオリン教室などの音楽教室に通う。

ものづくり

小学校1・2年図画工作

「表現の活動を通して、発想や構想に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 造形遊びをする活動を通して、身近な自然物や人工の材料の形や色などを基に造形的な活動を思い付くことや、感覚や気持ちを生かしながら、どのように活動するかについて考えること。
イ  立体工作に表す活動を通して、感じたこと、想像したことから、表したいことを見付けることや、好きな形や色を選んだり、いろいろな形や色を考えたりしながら、どのように表すかについて考えること。」

小学校3・4年図画工作

「表現の活動を通して、発想や構想に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 造形遊びをする活動を通して、身近な材料や場所などを基に造形的な活動を思い付くことや、新しい形や色などを思い付きながら、どのように活動するかについて考えること。
イ 立体工作に表す活動を通して、感じたこと、想像したこと、見たことから、表したいことを見付けることや、表したいことや用途などを考え、形や色、材料などを生かしながら、どのように表すかについて考えること。」

「表現の活動を通して、技能に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 造形遊びをする活動を通して、材料や用具を適切に扱うとともに、前学年までの材料や用具についての経験を生かし、組み合わせたり、切ってつないだり、形を変えたりするなどして、手や体全体を十分に働かせ、活動を工夫してつくること。
イ 立体工作に表す活動を通して、材料や用具を適切に扱うとともに、前学年までの材料や用具についての経験を生かし、手や体全体を十分に働かせ、表したいことに合わせて表し方を工夫して表すこと。」

小学校5・6年図画工作

「表現の活動を通して、発想や構想に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 造形遊びをする活動を通して、材料や場所、空間などの特徴を基に造形的な活動を思い付くことや、構成したり周囲の様子を考え合わせたりしながら、どのように活動するかについて考えること。
イ 立体工作に表す活動を通して、感じたこと、想像したこと、見たこと、伝え合いたいことから、表したいことを見付けることや、形や色、材料の特徴、構成の美しさなどの感じ、用途などを考えながら、どのように主題を表すかについて考えること。」

「表現の活動を通して、技能に関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 造形遊びをする活動を通して、活動に応じて材料や用具を活用するとともに、前学年までの材料や用具についての経験や技能を総合的に生かしたり、方法などを組み合わせたりするなどして、活動を工夫してつくること。
イ 立体工作に表す活動を通して、表現方法に応じて材料や用具を活用するとともに、前学年までの材料や用具などについての経験や技能を総合的に生かしたり、表現に適した方法などを組み合わせたりするなどして、表したいことに合わせて表し方を工夫して表すこと。」

小学校図画工作 共通事項

材料や用具については、次のとおり取り扱うこととし、必要に応じて、当該学年より前の学年において初歩的な形で取り上げたり、その後の学年で繰り返し取り上げたりすること。
ア 第1学年及び第2学年においては、土、粘土、木、紙、クレヨン、パス、はさみ、のり、簡単な小刀類など身近で扱いやすいものを用いること。
イ 第3学年及び第4学年においては、木切れ、板材、釘(くぎ)、水彩絵の具、小刀、使いやすいのこぎり、金づちなどを用いること。
ウ 第5学年及び第6学年においては、針金、糸のこぎりなどを用いること。」

中学校技術・家庭(技術分野)

生活や社会における問題を、材料と加工の技術によって解決する活動を通して、次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 製作に必要な図をかき、安全・適切な製作や検査・点検等ができること。
イ 問題を見いだして課題を設定し、材料の選択や成形の方法等を構想して設計を具体化するとともに、製作の過程や結果の評価、改善及び修正について考えること。」

ものづくり分野の体験活動としては、次のようなことが考えられる

をかいたり、手工芸品(編み物、レース、刺繍、キルト、ぬいぐるみ、染色、折り紙、ドライフラワー、レザークラフト、木工、陶芸、彫刻など)を作ったりする。
②絵画教室、手芸教室、木工教室、陶芸教室、彫刻教室に通う。

家庭での生活

小学校5・6年家庭

「次の(1)から(4)までの項目について、課題をもって、家族や地域の人々と協力し、よりよい家庭生活に向けて考え、工夫する活動を通して、次の事項を身に付けることができるよう指導する。(略)
(2)家庭生活と仕事 
ア 家庭には、家庭生活を支える仕事があり、互いに協力し分担する必要があることや生活時間の有効な使い方について理解すること。
イ 家庭の仕事の計画を考え、工夫すること。」
「次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 調理に必要な材料の分量や手順が分かり、調理計画について理解すること。
(イ) 調理に必要な用具や食器の安全で衛生的な取扱い及び加熱用調理器具の安全な取扱いについて理解し、適切に使用できること。
(ウ) 材料に応じた洗い方調理に適した切り方味の付け方盛り付け、配膳及び後片付けを理解し、適切にできること。
(エ) 材料に適したゆで方、いため方を理解し、適切にできること。
(オ) 伝統的な日常食である米飯及びみそ汁の調理の仕方を理解し、適切にできること。」

「次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 衣服の主な働きが分かり、季節や状況に応じた日常着の快適な着方について理解すること。
(イ) 日常着の手入れが必要であることや、ボタンの付け方及び洗濯の仕方を理解し、適切にできること。」

「次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 住まいの主な働きが分かり、季節の変化に合わせた生活の大切さや住まい方について理解すること。
(イ) 住まいの整理・整頓や清掃の仕方を理解し、適切にできること。」

「次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 製作に必要な材料や手順が分かり、製作計画について理解すること。
(イ) 手縫いミシン縫いによる目的に応じた縫い方及び用具の安全な取扱いについて理解し、適切にできること。」
「生活を豊かにするために布を用いた物の製作計画を考え、製作を工夫すること。」

「次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 買物の仕組みや消費者の役割が分かり、物や金銭の大切さと計画的な使い方について理解すること。
(イ) 身近な物の選び方、買い方を理解し、購入するために必要な情報の収集・整理が適切にできること。」
「購入に必要な情報を活用し、身近な物の選び方、買い方を考え、工夫すること。」

中学校技術・家庭(家庭分野)

「次のような知識を身に付けること。
(ア) 幼児の発達と生活の特徴が分かり、子供が育つ環境としての家族の役割について理解すること。
(イ) 幼児にとっての遊びの意義や幼児との関わり方について理解すること。」
「幼児とのよりよい関わり方について考え、工夫すること。」

「次のような知識及び技能を身に付けること。(略)
(ウ)材料に適した加熱調理の仕方について理解し、基礎的な日常食の調理が適切にできること。
(エ) 地域の食文化について理解し、地域の食材を用いた和食の調理が適切にできること。」
「日常の1食分の調理について、食品の選択や調理の仕方、調理計画を考え、工夫すること。」

「次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア) 衣服と社会生活との関わりが分かり、目的に応じた着用、個性を生かす着用及び衣服の適切な選択について理解すること。
(イ) 衣服の計画的な活用の必要性、衣服の材料や状態に応じた日常着の手入れについて理解し、適切にできること。」
「衣服の選択、材料や状態に応じた日常着の手入れの仕方を考え、工夫すること。」
「(ア)については、日本の伝統的な衣服である和服について触れること。また、和服の基本的な着装を扱うこともできること。さらに、既製服の表示と選択に当たっての留意事項を扱うこと。
(イ)については、日常着の手入れは主として洗濯と補修を扱うこと。」

小学校道徳1・2年

父母祖父母を敬愛し、進んで家の手伝いなどをして、家族の役に立つこと。」

小学校道徳3・4年

「家族など生活を支えてくれている人々や現在の生活を築いてくれた高齢者に、尊敬と感謝の気持ちをもって接すること。」
父母祖父母を敬愛し、家族みんなで協力し合って楽しい家庭をつくること。」

小学校道徳5・6年

父母祖父母を敬愛し、家族の幸せを求めて、進んで役に立つことをすること。」

中学校道徳

父母祖父母を敬愛し、家族の一員としての自覚をもって充実した家庭生活を築くこと。」

家庭生活分野の体験活動としては、次のようなことが考えられる

①家庭で手伝いをする。例えば、料理を作ったり、お菓子を作ったり、買い物に行ったり、片づけをしたり、掃除をしたり、アイロンをかけたり、繕いをしたり、小さな子どもの面倒をみたりする。
祖父母の家を訪ね、遊んだり、話しをしたりする。

伝承遊び、スポーツ、ダンス

小学校1・2年体育

体つくりの運動あそび・・・体ほぐしの運動遊び、多様な動きをつくる運動遊び」
器械・器具を使っての運動遊び・・・固定施設を使った運動遊び、マットを使った運動遊び、鉄棒を使った運動遊び、跳び箱を使った運動遊び」
走・跳の運動遊び・・・走の運動遊び、跳の運動遊び」
水遊び・・・水の中を移動する運動遊び、もぐる・浮く運動遊び」
ゲーム・・・ボールゲーム、鬼遊び」
表現リズム遊び・・・表現遊び、リズム遊び」
「学校や地域の実態に応じて歌や運動を伴う伝承遊び及び自然の中での運動遊びを加えて指導することができる。」

小学校3・4年体育

体つくり運動・・・体ほぐしの運動、多様な動きをつくる運動」
器械運動・・・マット運動、鉄棒運動、跳び箱運動」
走・跳の運動・・・かけっこ・リレー、小型ハードル走、幅跳び、高跳び」
水泳運動・・・浮いて進む運動、もぐる・浮く運動」
ゲーム・・・ゴール型ゲーム、ネット型ゲーム、ベースボール型ゲーム」
表現運動・・・表現、リズムダンス」
「内容の「F表現運動」の(1)については、学校や地域の実態に応じてフォークダンスを加えて指導することができる。」

小学校5・6年体育

体つくり運動・・・体ほぐしの運動、体の動きを高める運動」
器械運動・・・マット運動、鉄棒運動、跳び箱運動」
陸上運動・・・短距離走・リレー、ハードル走、走り幅跳び、走り高跳び」
水泳運動・・・クロール、平泳ぎ」
ボール運動・・・ゴール型、ネット型、ベースボール型」
表現運動・・・表現、フォークダンス」
「内容の「F表現運動」の(1)については、学校や地域の実態に応じてリズムダンスを加えて指導することができる。」

小学校体育 共通事項

「自然との関わりの深い雪遊び氷上遊びスキースケート水辺活動などの指導については、学校や地域の実態に応じて積極的に行うことに留意すること。」

中学校1・2年保健体育(体育分野)

体つくり運動・・・体ほぐしの運動、体の動きを高める運動」
器械運動・・・マット運動、鉄棒運動、平均台運動、跳び箱運動」
陸上競技・・・短距離走・リレー、長距離走、ハードル走、走り幅跳び、走り高跳び」
水泳・・・クロール、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライ」
球技・・・ゴール型、ネット型、ベースボール型」
武道・・・柔道、剣道、相撲」
ダンス・・・創作ダンス、フォークダンス、現代的なリズムのダンス」

中学校3年保健体育(体育分野)

体つくり運動・・・体ほぐしの運動、実生活に生かす運動」
器械運動・・・マット運動、鉄棒運動、平均台運動、跳び箱運動」
陸上競技・・・短距離走・リレー、長距離走、ハードル走、走り幅跳び、走り高跳び」
水泳・・・クロール、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライ」
球技・・・ゴール型、ネット型、ベースボール型」
武道・・・柔道、剣道、相撲」
ダンス・・・創作ダンス、フォークダンス、現代的なリズムのダンス」

中学校保健体育(体育分野) 共通事項

「第3学年においては、「A体つくり運動」及び「H体育理論」については、全ての生徒に履修させること。「B器械運動」、「C陸上競技」、「D水泳」及び「Gダンス」についてはいずれかから一以上を、「E球技」及び「F武道」についてはいずれか一以上をそれぞれ選択して履修できるようにすること。」
「「F武道」については、柔道剣道、相撲、空手道、なぎなた、弓道、合気道、少林寺拳法、銃剣道などを通して、我が国固有の伝統と文化により一層触れることができるようにすること。また、(1)の運動については、アからウまでの中から一を選択して履修できるようにすること。なお、学校や地域の実態に応じて、空手道、なぎなた、弓道、合気道、少林寺拳法、銃剣道などについても履修させることができること。また、武道場などの確保が難しい場合は指導方法を工夫して行うとともに、学習段階や個人差を踏まえ、段階的な指導を行うなど安全を十分に確保すること。」
「自然との関わりの深いスキースケート水辺活動などの指導については、学校や地域の実態に応じて積極的に行うことに留意するものとする。」

伝承遊び・スポーツ・ダンス分野の体験活動としては、次のようなことが考えられる

様々な伝承遊び鬼ごっこ、缶けり、かくれんぼ、おしくらまんじゅう、水切り、竹馬、こま回し、しゃぼんだま、おはじき、お手玉など)をしたり、様々なスポーツ(野球、サッカー、水泳、スケート、柔道、空手、剣道など)をしたりする。
自転車に乗ったり、なわとびをしたり、シーソーブランコで遊んだりする。
③野球教室、サッカー教室、水泳教室、スケート教室、柔道教室、空手教室、剣道教室、ダンススクールに通ったりする。

健康

小学校3・4年体育(保健)

「健康な生活について理解すること。
(ア) 心や体の調子がよいなどの健康の状態は、主体の要因や周囲の環境の要因が関わっていること。
(イ) 毎日を健康に過ごすには、運動食事休養及び睡眠の調和のとれた生活を続けること、また、体の清潔を保つことなどが必要であること。
(ウ) 毎日を健康に過ごすには、明るさの調節、換気などの生活環境を整えることなどが必要であること。」

小学校5・6年体育(保健)

「心の発達及び不安や悩みへの対処について理解するとともに、簡単な対処をすること。
(ア) 心は、いろいろな生活経験を通して、年齢に伴って発達すること。
(イ) 心と体には、密接な関係があること。
(ウ) 不安や悩みへの対処には、大人や友達に相談する、仲間と遊ぶ、運動をするなどいろいろな方法があること。」

中学校保健体育(保健分野)

「健康の保持増進には、年齢、生活環境等に応じた運動、食事、休養及び睡眠の調和のとれた生活を続ける必要があること。」
「生活習慣病などは、運動不足、食事の量や質の偏り、休養や睡眠の不足などの生活習慣の乱れが主な要因となって起こること。また、生活習慣病などの多くは、適切な運動食事休養及び睡眠の調和のとれた生活を実践することによって予防できること。」

健康分野の体験活動としては、次のようなことが考えられる

①健康の保持増進のために、日常的に、適切な運動食事休養及び睡眠の調和のとれた生活を実践していく。
②毎日の食事の量や栄養素のバランスに気を付ける、口腔の衛星を保つといった生活習慣を身につける。

国際交流

小学校3・4年外国語活動

英語の音声やリズムなどに慣れ親しむとともに、日本語との違いを知り、言葉の面白さや豊かさに気付くこと。」
「日本と外国との生活や習慣、行事などの違いを知り、多様な考え方があることに気付くこと。」
異なる文化をもつ人々との交流などを体験し、文化等に対する理解を深めること。」

小学校総合的な学習の時間

「目標を実現するにふさわしい探究課題については学校の実態に応じて、例えば、国際理解、情報、環境、福祉・健康などの現代的な諸課題に対応する横断的・総合的な課題、地域の人々の暮らし、伝統と文化など地域や学校の特色に応じた課題、児童の興味・関心に基づく課題などを踏まえて設定すること。」

中学校総合的な学習の時間

「目標を実現するにふさわしい探究課題については学校の実態に応じて、例えば、国際理解、情報、環境、福祉・健康などの現代的な諸課題に対応する横断的・総合的な課題、地域や学校の特色に応じた課題、生徒の興味・関心に基づく課題、職業や自己の将来に関する課題などを踏まえて設定すること。」

国際交流分野の体験活動としては、次のようなことが考えられる

国際交流事業に参加して海外に行く、海外でホームステイをする、家族と一緒に海外旅行をする、短期の留学をする、日本で外国人と英語などで話して交流する、英会話教室で英語を学ぶ。

友達関係

小学校1・2年道徳

友達と仲よくし、助け合うこと。」

小学校3・4年道徳

友達と互いに理解し、信頼し、助け合うこと。」

小学校5・6年道徳

友達と互いに信頼し、学び合って友情を深め、異性についても理解しながら、人間関係を築いていくこと。」

中学校道徳

友情の尊さを理解して心から信頼できる友達をもち、互いに励まし合い、高め合うとともに、異性についての理解を深め、悩みや葛藤も経験しながら人間関係を深めていくこと。」

友達関係分野の体験活動としては、次のようなことが考えられる

①学校で友達を作ったり、公園などで近所の子供たちと遊ぶなかで友達を作ったりする。
青少年団体、スポーツクラブ、文化サークル、ボランティア団体、国際交流団体などが企画する事業に参加して友達を作る。

年中行事

小学校特別活動 学校行事 儀式的行事

「学校生活に有意義な変化や折り目を付け、厳粛で清新な気分を味わい、新しい生活の展開への動機付けとなるようにすること。」
(解説)「儀式的行事は、 全校の児童及び教職員が一堂に会して行う教育活動であり、その内容には、入学式卒業式、始業式、終業式、修了式、開校記念に関する儀式、教職員の着任式・離任式、新入生との対面式、朝会などが考えられる。」

中学校特別活動 学校行事 儀式的行事

「学校生活に有意義な変化や折り目を付け、厳粛で清新な気分を味わい、新しい生活の展開への動機付けとなるようにすること。」
(解説)「儀式的行事は、一般的に全校の生徒及び教職員が一堂に会して行う教育活動であり、その内容には、入学式卒業式、始業式、終業式、修了式、立志式、開校記念に関する儀式、新任式、離任式などが考えられる。」

年中行事分野の体験活動としては、次のようなことが考えられる

年中行事などを行う。例えば、正月、初もうで、餅つき、七草、鏡開き、節分、ひな祭り、お彼岸、お花見、端午の節句、七夕、お盆、お月見、七五三、クリスマス、年越しそば、誕生会。

文化的活動

小学校特別活動 学校行事 文化的行事

「平素の学習活動の成果を発表し、自己の向上の意欲を一層高めたり、文化や芸術に親しんだりするようにすること。」
(解説)「文化的行事には、児童が各教科等における日ごろの学習の成果を総合的に発展させ、発表し合い、互いに鑑賞する行事と、児童の手によらない作品や催し物を鑑賞する行事とがある。前者には、学芸会、学習発表会、展覧会、作品展示会音楽会、読書感想発表会、クラブ発表会などがあり、後者には、音楽鑑賞会演劇鑑賞会美術館見学会地域の伝統文化等の鑑賞会などが考えられる。」

中学校特別活動 学校行事 文化的行事

「平素の学習活動の成果を発表し、自己の向上の意欲を一層高めたり、文化や芸術に親しんだりするようにすること。」
(解説)「文化的行事には、生徒が各教科等における日頃の学習や活動の成果を総合的に発展させ、発表し合い、互いに鑑賞する行事と、外部の文化的な作品や催し物を鑑賞するなどの行事とがある。前者には、文化祭、学習発表会、音楽会(合唱祭)、作品発表会などがあり、後者には、音楽鑑賞会映画や演劇の鑑賞会伝統芸能等の鑑賞会講演会などが考えられる。」

文化的活動分野の体験活動としては、次のようなことが考えられる

美術館、ギャラリー、映画館コンサートホール、文化会館、劇場などに行き、絵画、書、写真、映画、音楽、演劇、日本舞踊、ミュージカル、バレエ、生け花を鑑賞したりする。
②音楽教室でピアノ、バイオリンなどを習う、バレエ教室でバレエを習う、ダンススクールでダンスを習う、絵画教室で絵を習う。そしてそれらを発表会で発表する。

遠足、旅行、集団宿泊活動

小学校特別活動 学校行事 遠足・集団宿泊的行事

「自然の中での集団宿泊活動などの平素と異なる生活環境にあって、見聞を広め、自然や文化などに親しむとともに、よりよい人間関係を築くなどの集団生活の在り方や公衆道徳などについての体験を積むことができるようにすること。」
(解説)「遠足・集団宿泊的行事には、遠足修学旅行野外活動集団宿泊活動などが考えられる。」

中学校特別活動 学校行事 旅行・集団宿泊的行事

「平素と異なる生活環境にあって、見聞を広め、自然や文化などに親しむとともに、よりよい人間関係を築くなどの集団生活の在り方や公衆道徳などについての体験を積むことができるようにすること。」
(解説)「旅行・集団宿泊的行事としては、修学旅行移動教室集団宿泊野外活動などが考えられる。」

遠足・旅行・集団宿泊活動分野の体験活動としては、次のようなことが考えられる

登山ハイキング、フィールドアスレチック、キャンプファイヤー、海水浴、潮干狩り、魚釣り、川遊び、カヌー、シュノーケリング、カレーライスやバーベキューなどの野外炊事、サイクリング、スキー、そり遊び、キャンプ、旅行をする。

ボランティア活動

小学校特別活動 学校行事 勤労生産・奉仕的行事

「勤労の尊さや生産の喜びを体得するとともに、ボランティア活動などの社会奉仕の精神を養う体験が得られるようにすること。」
(解説)「勤労生産・奉仕的行事には、飼育栽培活動、校内美化活動、地域社会の清掃活動、公共施設等の清掃活動、福祉施設との交流活動などが考えられる。」

中学校特別活動 学校行事 勤労生産・奉仕的行事

「勤労の尊さや生産の喜びを体得し、職場体験活動などの勤労観・職業観に関わる啓発的な体験が得られるようにするとともに、共に助け合って生きることの喜びを体得し、ボランティア活動などの社会奉仕の精神を養う体験が得られるようにすること。」
(解説)「勤労生産・奉仕的行事としては、職場体験活動、各種の生産活動、上級学校や職場の訪問・見学、全校美化の行事、地域社会への協力や学校内外のボランティア活動などが考えられる。」

ボランティア活動分野の体験活動としては、次のようなことが考えられる

清掃活動花壇の手入れ、お祭りの運営、動物愛護、防災、復興支援、福祉施設での交流活動などのボランティア活動に参加する。 

コンピュータ

小学校総則

「各学校において、コンピュータ情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え、これらを適切に活用した学習活動の充実を図ること。また、各種の統計資料や新聞、視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること。あわせて、各教科等の特質に応じて、次の学習活動を計画的に実施すること。
ア 児童がコンピュータで文字を入力するなどの学習の基盤として必要となる情報手段の基本的な操作を習得するための学習活動
イ 児童がプログラミングを体験しながら、コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動」

中学校総則

「各学校において、コンピュータ情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え、これらを適切に活用した学習活動の充実を図ること。また、各種の統計資料や新聞、視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること。」

コンピュータ分野の体験活動としては、次のようなことが考えられる

パソコンスマートフォンで、インターネットを利用して、情報収集、情報発信などを適切に行う。特に、SNS(ソーシャル・ネットワーク・システム)を適切に活用する。

その他の体験的な学習活動

その他分野の体験活動としては、次のようなことが考えられる

①科学博物館、科学未来館、海洋博物館、宇宙科学館、科学技術館に行く。
②数学コンクール、科学コンクールに参加する。
③英語検定、漢字検定、数学検定を受ける。
④学習塾、そろばん塾、書道教室、理科実験教室、英会話教室、パソコン教室に通う。

小・中学生の子供たちの体験活動の現状

昔に比べると、子供たちの体験が不足しているといわれる。このことに関して、小・中学生の子供たちがどのような体験をどのくらいしているのかを、国立青少年教育振興機構の調査研究(「青少年の体験活動等に関する実態調査」(平成26年度調査))で確認した。

【自然体験】

「チョウやトンボ、バッタなどの昆虫をつかまえたこと」
(小・中学生「何度もある」「少しある」 平成10年度81.0%→平成21年度59.3%→平成26年度78.3%
「海や川で貝を採ったり、魚を釣ったりしたこと」(78.4%→58.0%→74.9%
「大きな木に登ったこと」(56.8%→47.6%→60.0%
「ロープウェイやリフトを使わずに高い山に登ったこと」(47.2%→33.2%→42.0%
太陽が昇るところや沈むところを見たこと」(66.6%→62.5%→67.6%
「夜空いっぱいに輝く星をゆっくり見たこと」(77.9%→74.0%→82.0%
野鳥を見たり、鳴く声を聞いたこと」(74.9%→66.6%→79.1%
海や川で泳いだこと」(90.2%→69.8%→83.7%
キャンプをしたこと」(62.1%→43.3%→56.1%

【生活体験】

ナイフ包丁で、果物の皮をむいたり、野菜を切ったこと」
(小・中学生「何度もある」「少しある」 平成10年度87.4%→平成21年度89.8%→平成26年度90.6%
タオルやぞうきんなどを絞ったこと」(96.4%→96.3%→98.7%
「道路や公園などに捨てられているゴミを拾ったりしたこと」(63.4%→61.7%→69.8%
弱い者いじめケンカをやめさせたり、注意したこと」(62.3%→58.5%→68.5%
赤ちゃんのおむつをかえたり、ミルクをあげたこと」(22.6%→24.6%→30.4%
小さい子どもを背負ったり、遊んであげたりしたこと」(79.8%→77.6%→85.5%

【お手伝い】

買い物のお手伝いをすること」
(小・中学生「いつもしている」「時々している」 平成10年度56.5%→平成21年度69.9%→平成26年度76.5%
新聞や郵便物をとってくること」(58.8%→65.5%→63.3%
などをそろえたり、磨いたりすること」(25.2%→43.7%→50.5%
食器をそろえたり、片付けたりすること」(62.8%→73.3%→74.7%
「家の中のお掃除や整頓を手伝うこと」(51.2%→64.3%→68.0%
ゴミ袋を出したり、捨てること」(38.0%→51.7%→58.5%
お風呂洗いをしたり、窓ふきを手伝うこと」(50.2%→59.0%→63.5%
お料理の手伝いをすること」(50.5%→60.6%→63.4%
ペットの世話とか植物の水やりをすること」(54.1%→44.9%→45.6%

【生活習慣】

「朝、顔を洗ったり、歯をみがいたりすること」
(小・中学生「必ずしている」「だいたいしている」 平成10年度92.2%→平成21年度94.6%→平成26年度94.3%
朝、食事をとること」(94.5%→95.3%→96.1%
「自分のふとんの上げ下ろしやベッドを整頓すること」(44.4%→58.8%→61.1%
「朝、人に起こされないで自分で起きること」(51.7%→52.3%→56.1%
「家であいさつをすること」(85.2%→87.4%→89.2%
近所の人や知り合いの人にあいさつをすること」(78.7%→83.1%→86.4%

調査項目にあるような自然体験、生活体験等は数年前に比べると徐々に増えてきていることがわかる。しかし例えば、昭和の時代に比べると、自然体験等は少なくなってきているという印象を持っている大人は多いと思われる。

こうした調査では回答者の負担を考え、質問項目数はあまり多くできないので、調査項目に上がっている項目以外の体験活動はあまり多くないという可能性がある。

時代とともに、小・中学生の子供たちに体験してほしいものは変化してくると考えられ、昔やっていた活動をすべて同じようにすればよいと単純に言えるものでもない。例えば、昔はパソコン、インターネットがなかったし、英語も小学生のときは学習していなかった。子供たちが自由に使える時間は限られているので、現代にふさわしい体験活動とは何かという問題は、よく考える必要がある。

「友達と鬼ごっこしてあそぶ」といった比較的手軽にできる体験活動もある一方で、「フランスのルーブル美術館でモナリザの絵を見る」という高額の費用負担を伴わないとできない体験活動もある。

「昔から多くの子供がしてきた体験活動」は、比較的手軽にできる体験活動といえるだろう。よって、まずそうした体験活動を行うことが促され、その次に、「子供一人ひとりの興味・関心や家庭環境に応じた体験活動」についても促されることが合理的な方法であると考える。

体験活動マップ

学習指導要領等をもとにしつつ、さらに2.で取り上げたような様々な体験活動をも含めて、体系的・網羅的に整理して全体像を示したのが別紙1の「小・中学生のための体験活動俯瞰図」である。

「小・中学生のための体験活動俯瞰図」をもとにしつつ、3.で述べたように経済的負担等を考慮して、多くの子供たちに体験してほしいことを中心に整理して示したものが別紙2の「小・中学生のための体験活動マップ」である。家庭や地域、青少年教育施設等でこの体験活動マップを参考にして子供たちの体験活動を促し、子供たちや保護者等の反響を踏まえて、その体験活動マップはよりよいものに修正されていくべきものと考える。なお、ここに記載したすべての体験活動を小・中学生のうちにしなければならないというものではなく(例えば、記載しているすべての昆虫を探して観察しなれればならないということではない。)ひとつの目安とすべきものと考える。

上記文章等は、筆者の個人的見解であり、必ずしも所属する組織の見解を代表するものではないことを申し添える。

引用・参考文献

文部科学省「小学校学習指導要領」(平成29年3月)
文部科学省「小学校学習指導要領解説 特別活動編」(平成29年6月)
文部科学省「中学校学習指導要領」(平成29年3月)
文部科学省「中学校学習指導要領解説 特別活動編」(平成29年7月)
白籏史朗「カラー高山植物」(平成8年9月、東京新聞出版局)
今泉忠明 「原色ワイド図鑑 動物」(平成14年11月、学習研究社)
沖山宗雄、奥谷喬司「原色ワイド図鑑 魚・貝」(平成14年11月、学習研究社)
岡島秀治「原色ワイド図鑑 昆虫Ⅰ」(平成14年11月、学習研究社)
岡島秀治「原色ワイド図鑑 昆虫Ⅱ・クモ」(平成14年11月、学習研究社)
武田正倫「原色ワイド図鑑 水の生物」(平成14年11月、学習研究社)
小宮輝之「原色ワイド図鑑 鳥」(平成14年11月、学習研究社)
千谷順一郎、浅山英一「原色ワイド図鑑 花・作物」(平成14年11月、学習研究社)
高橋秀男、本田正次「原色ワイド図鑑 野草」(平成14年11月、学習研究社)
大場達之「原色ワイド図鑑 樹木・果実」(平成14年11月、学習研究社)
藤井旭「星座天体観察図鑑」(平成10年7月、成美堂出版)
文化庁「親子で歌いつごう日本の歌百選」(平成19年5月、東京書籍)
独立行政法人青少年教育振興機構「青少年の体験活動等に関する実態調査(平成26年度調査)」(平成28年5月)