
日本・中国・韓国の子どもたちが協力して絵本をつくるというユニークな国際交流プロジェクト━━それが「日中韓子ども童話交流事業」です。この取り組みは、2002年から始まり、すでに20年以上の歴史を重ねてきました。
この事業は、各国の複数の団体が連携して開催しています。日本側は「日中韓子ども童話交流事業実行委員会」(子どもの未来を考える議員連盟と、独立行政法人国立青少年教育振興機構で構成)、中国側は「中国関心下一代工作委員会」、韓国側は「ソウル教育大学校」、そして「日中韓三国協力事務局(TCS)」が共催団体として参加しています。
私自身も、平成29年(2017年)に韓国で、また平成30年(2018年)には日本で開催された回に、それぞれ参加する機会がありました。
最初は、子どもたちが言葉の壁を越えて交流できるのか心配もありました。しかし、日本語・中国語・韓国語それぞれに通訳がつき、会話のサポートがなされるため、スムーズにやりとりができます。そして何より、交流が進むにつれて、言葉を超えて子どもたちが「なんとなく通じ合う」瞬間が増えていきました。その様子を見るたびに、人と人とのつながりの力を実感しました。
この事業では毎回「交流テーマ」が設定されており、子どもたちはそれをもとに絵本づくりに取り組みます。たとえば、韓国での開催時のテーマは「音」。ロッテワールドタワーや国立子ども青少年図書館、済州島の世界自然遺産センターなどを訪問し、童話作家による講話や「ナンタ」のパフォーマンス鑑賞など、多彩な体験が用意されていました。
その後、いよいよ絵本制作が始まります。各班は約10人で、日本人・中国人・韓国人がそれぞれ3~4人ずつ参加します。グループごとにストーリーを話し合って構想を練り、各自が1ページずつ、絵と文章を担当します。もちろん文章はそれぞれの母語で書かれますが、すべてを1冊にまとめ、ひとつの絵本として完成させていきます。異なる文化的背景をもつ子どもたちが、一つの作品を協働で作り上げるというこのプロセスには、大きな意義と可能性を感じました。
日本側では、「子どもの未来を考える議員連盟」が中心的な役割を果たしています。私が参加した当時、議連の会長は河村建夫議員で、多忙な中でもできる限り現場に足を運び、子どもたちの活動に目を配っておられました。その行動力と志の高さには深い感銘を受けました。
この「日中韓子ども童話交流事業」については、専用のホームページでも詳しく紹介されています。新型コロナウイルスの影響により一時中断されていましたが、2023年の夏から再び実施され、子どもたちの創造力と国際的な交流が再び息を吹き返しています。これからも、異なる文化背景を持つ子どもたちが協力し合い、物語を紡いでいくこの貴重な機会が、さらに発展していくことを期待しています。