
文部科学省では、大学の新たな取り組みを後押しするために、毎年のように新しい補助金や支援制度を設けています。大学にとっては、こうした補助金はブランド力の向上や事業費拡大のために、ぜひとも獲得したいところですが、応募する大学も多く、競争は激しく、採択されるのは決して容易ではありません。
補助金申請では、通常書類選考が中心となるため、構成がしっかりしていて説得力のある申請書の作成が不可欠です。しかし、実際には申請締切までの期間が短く、準備に十分な時間が取れないと感じることも少なくないでしょう。したがって、早い段階で情報を収集する努力が求められます。
たとえば、文科省が公表する概算要求資料には、次年度に向けた施策の方向性が示されており、それをもとに準備を始めることが可能です。また、もし大学が現在進めている取組みに強い自信があるのであれば、文科省の担当者に積極的にアピールするという方法もあります。文科省側も、実効性のある先進的なプロジェクトには期待を寄せており、前向きに受け止めてくれることもあるでしょう。
一方で、地元の国会議員に働きかけることを検討する大学幹部もいるかもしれません。実際に、「有力な地元議員にお願いして補助金を獲得した」と話す大学関係者の声を聞いたこともあります。しかし、これには慎重な対応が必要です。もし、感謝の意として金銭などを渡していた場合、それが贈収賄に問われる可能性すらあります。仮に事実でなくとも、そのような疑念を招く行動は、大学の信頼を損なうことになりかねません。
補助金獲得には、制度の趣旨を的確に理解したうえで、正攻法で丁寧に準備を重ねることが最も重要です。近道を探すよりも、誠実で戦略的な取り組みこそが、大学の価値を高める道ではないでしょうか。