国立大学の場合は、長く教員をしていた人が学長になるケースが多いです。そして、学長は自分に協力してくれそうな人材を集めて、理事や副学長にします。当然のことながら、同じ大学の教員の中から選ぶことになります。

同じ大学に長くいれば、その風土に染まってしまいます。教授会をはじめとする会議のやりかた、予算の編成の仕方、執行部と学部との関係、教員と事務との関係、研究費の配分の仕方、文部科学省への予算要求の仕方など、長年そのやりかたが普通となってしまいます。実務を担う大学職員も、その多くは何十年も同じ大学に勤めていて、他大学のことはあまり知りません。文部科学省が将来の日本を考え新しい方向性を出したとしても、補助金など関心があること以外は流してしまいがちです。

しかし、自分たちにとってはあたりまえのことが、世間一般や他大学の目から見ると、少しおかしいということもあったりします。予算編成はその配分のやり方、会議の資料の作り方や議論の進め方、経営陣と教員の関係など、もう少し改善の余地かあるのではないか、と感じたことは何回もありました。

民間企業などでは、社外取締役を置いて、新鮮な目で厳しく内部の経営陣に質問なり要望などをぶつけています。外部の人なので、その会社のことを熟知しているわけではありません。だからこそ、内部の人が気づかなかったことが、よく見えたりします。

国立大学でも、公立大学でも、私立大学でも、組織の活性化を図るために、ぜひ優秀な外部人材を経営陣に加えて、新鮮な目で見てもらうことが必要だと思います。